何気ないチャットが裁判の証拠となりえる未来が現実
タイトルの名付けにちょっと迷ったが、そう、そんなディストピアな未来が現実になっている。
はてブの話題記事より。本記事執筆時は192user。
この記事はツッコミどころが複数あるので、まだまだはてブは伸びると思う。
この記事のツッコミどころ
- ビジネスでLINEを使う
- 晒される可能性があると分かっていてエロいことを言う
- そもそも、こんなにカジュアルにセクハラしてくる奴が現実にいる
ひとつずつ確認したい。
ビジネスでLINEを使う
これはもうリテラシーがないとしか言いようがなくて、LINEのビジネス利用を禁じていない会社側が悪い。
なのにこういう状態が多くの会社であるということは、その危機意識がないということでもある。
リテラシーというのは2つの文脈があって、
の2つだ。LINEのビジネス利用がNG、という文脈で重要なのは1のほうだ。
社員が社用のチャットでどういう発言してるか管理できないし、退職したら遡れない
もうこの見出しで全部言い切っちゃったんだけど、要はそういうことである。メールだと、メールワイズみたいな、複数社員で共有して対応するシステムもあるし、部署のメーリングリストにCCする、みたいな文化もある。社用のメールは管理(監視)しようとすれば管理(監視)できる。
社員からしたら好ましく思わない人もいるかもしれないが、企業側からすれば出来ることならしたいだろう。
次に、退職したら遡れない問題。これはリアルタイムに監視する必要はなかったとしても、退職後に過去の履歴を遡れないのは問題だ。在職中であれば、社用のチャットを見せなさい、と必要なときにその社員に言えば済むだろう。しかし退職済みであるとややこしい問題になる。退職後に社用チャットの履歴を遡るなら、
- 退職した社員に連絡を取る
- 社用チャットの部分だけ公開してもらう
というステップを踏まなければならない。1は連絡が取れればいいが、電話番号を変えていたり、引っ越していたりすると連絡が取れないってこともあるだろう。
2に関しては、面倒ではあるが連絡さえつけば公開してもらうことは可能かもしれない。だが、業務命令ではないので、あくまでお願いレベルだ。また、過去の業務上のチャットとはいえ、退職後に開示することに対して、何らかの経済的請求を求められるかもしれない。
で、こういうような課題に対しては、チャットワークのエンタープライズ版がソリューションを提供しているので、ビジネス目的でチャットを導入したい企業は、とにかくチャットワークの契約をしたほうが良いと思う。
裏でこそこそやる悪い社員に対するリスク
次に問題なのがセキュリティリスク。それもIT的なものではなくて、人的なやつ。社員が取引先や協業先と1to1の会話をするということは、セクハラ等の問題でなくても、例えば企業秘密を売ってしまったり、売らなかったとしても、ここだけの話として、重要な機密をペラっと喋っちゃうかもしれない。
そういう問題に対しては、LINEやFacebook Messengerでは対応のしようがない。これもガバナンスの範疇かもしれないが、前節で述べたのはあくまで性善説の範囲で、こちらは性悪説に立った場合のリスクといえる。
で、これの解決策(ソリューション)としても、今のところ日本ではチャットワークのエンタープライズ版ぐらいしか現実的に見当たらないと思う。
Webに残す=誰もが見る環境にある、を忘れてはいないか
次に晒されるリスクである。厳密に言えばLINEやFacebookMessengerはWebではないが、Web技術がベースにあるといってよい。ただ、WorldWideWebというオープンな場所ではない。
しかし、1on1の環境とはいえ、テキストベースでコピペが簡単であるとか、スクリーンショットも簡単に取れてしまう状況は、誰にとっても同じだ。
公開されていないからといって、相手によって晒されないというリスクは常にあるはず。それを忘れてしまうからこういうことになっているのだろう。1on1≒オープンWebだと頭に入れておいたほうが良い。
今クローズドであっても、いつオープンにされてしまうか分からないからだ。
そしてカジュアルにエロいこと言っちゃう輩について
ここからは技術の話ではなく、人間性の問題である。
私は男だから説得力がないかもしれないが、あそこまで下品に迫れる人間がいることに驚きだ。男性同士限定環境下での下ネタがあるのは知っているが、それを同じトーンで女性に対して出来るというのは、中々にすごい。あの財務次官と同じメンタリティなのだろうか。
やるならやるで、記録に残らないやり方をすれば、それはそれで知能犯である。例えば個室飲食店とかで直接口に出して言うはするけど、チャットでは一切残らないようにするとか。財務次官を取材する女性記者でもなければ、ボイスレコーダーも回っていまい(いや、件の事件から、常にレコーダーを回す女性が増えているかもしれない!)
だが、この手の類はきっと、そういうことを深く考えていないのだろう。脇の甘さと、技術的にコピペ性スクショ性の高いメディアであることを逆さに衝かれて、こういうことになっているはずだ。
まとめ
とにかく、
- エロかどうかは置いておいて、1対1のチャットであっても、どこに出しても恥ずかしくない言動をしよう
- (管理側に立つ場合)チャットワークのエンプラ版を導入しよう
- セクハラチャットが来たら、スクショを取っておこう
というのが、本件の教訓と言える。
あ、ちなみに私はチャットワークの回し者ではありません。どちらかというと、チャットワークについては否定的な立場の者です…